優れた都市景観を形成している地区を表彰する2024年度の都市景観大賞において、
天童温泉街地区が都市空間部門で最高賞の大賞(国土交通大臣賞)を受賞いたしました。
審査講評
天童温泉は、1886年に田んぼの中からお湯が出たことによって「田園の温泉」と呼ばれている。高度成長期には大型バスを仕立てた宴会中心の団体旅行による囲い型旅館経営であったが、バブル崩壊後、旅館の若旦那衆は景観や癒しに目を向けはじめた。産学官による街の調査や勉強会を重ね、その成果が文部科学省の生涯学習まちづくりモデル支援事業に採択されたことによって、「開かれた温泉街」に向けての新たな環境整備がはじまった。旅館の入り口や街かどには足湯や手湯のスポットを整備し、旅館の長い塀は夜間照明付きの杉板塀に改修するなど、民間を中心に夜間の回遊ルートと案内サインを整備した。舞鶴山を中心とした地元の植生調査により選定された樹種を天童の里山ユニットと定め、温泉街の植栽や蛇籠に生かすことによって、天童らしい固有の風景を作り出している。さらに、株式会社DMC天童温泉は、四季を通じた体験プログラムを積極的に発信していることも素晴らしい。このような天童温泉の景観形成の取り組みは、日本の多くの温泉街の再生モデルとして高く評価することができる。
令和6年10月4日
国土交通省発出令和6年度「都市景観大賞」各賞の選定プレスリリース